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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)744号 判決 1975年12月15日

本店所在地

東京都世田谷区喜多見町一丁目一四番一一号

片倉建設株式会社

(右代表者代表取締役高木修)

本籍

東京都世田谷区弦巻五丁目六〇一番地

住居

神奈川県川崎市高津区梶ケ谷四丁目九番一四号

会社役員

高木修

昭和四年一月二四日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官清水勇男、弁護人木内曾益、同水谷昭出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人片倉建設株式会社を罰金一、三〇〇万円に、

被告人高木修を懲役一〇月に各処する。

被告人高木修に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人片倉建設株式会社は東京都世田谷区喜多見町一丁目一四番一一号に(昭和五〇年七月以前は同都渋谷区渋谷三丁目七番七号に)本店を置き推進工法による諸配管工事等の請負及び施行を営業目的とする資本金五、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人高木修は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人高木修は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、外注労務費の架空又は水増計上により仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億〇、二一六万八、八一一円あつたにもかかわらず、同四七年五月三一日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、一六二万九、六五四円でこれに対する法人税額が一、〇三七万九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額三、六二七万九、一〇〇円と右申告税額との差額二、五八九万九、二〇〇円を免れ

(修正貸借対照表及び税額計算書は別紙(一)(四)のとおり)

第二  昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が八、四一〇万二、三七五円あつたのにかかわらず、同四八年五月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四、一七八万六、七二九円でこれに対する法人税額が一、三五四万七、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額二、九〇七万七、六〇〇円と右申告税額との差額一、五五二万九、九〇〇円を免れ

(修正貸借対照表及び税額計算書は別紙(二)(四)のとおり)

第三  昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が六、三三〇万一、六一二円あつたのにかかわらず、同四九年五月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、七〇三万〇、〇二九円でこれに対する法人税額が八七八万七、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額二、二〇九万四、七〇〇円と右申告税額との差額一、三三〇万七、二〇〇円を免れ

(修正貸借対照表および税額計算書は別紙(三)(四)のとおり)

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人の収税官吏に対する昭和五〇年一月九日付質問てん末書(記録第九四号と表示のあるもの)

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、星野譲の検察官に対する供述調書

一、武井孝夫の検察官に対する供述調書

一、押収してある法人税確定申告書三袋(当庁昭和五〇年押第一、八五九号の一ないし三)及び片倉建設株式会社法人税決議書類一綴(同押号の四)

一、登記官小田満作成の登記簿謄本

別紙(一)ないし(三)の各科目について

一、大蔵事務官作成の預金利息等調査書(別紙(一)の番号<1>現金、別紙(一)ないし(三)の各番号<10>仮払金について)

一、大蔵事務官作成の片倉建設株式会社預金等調査書並びに預金等の残高及び利息調査書(別紙(一)ないし(三)の各番号<2>預金、別紙(一)(三)の各番号<27>未払金、別紙(二)の番号<28>未払金について)

一、星野譲の収税官吏に対する昭和五〇年二月二七日付質問てん末書(別紙(一)(三)の各番号<27>未払金、別紙(二)の番号<28>未払金について)

一、大蔵事務官作成の簿外貸付金調査書(別紙(一)(三)の各番号<9>役員貸付金、別紙(二)の番号<8>貸付金、番号<9>役員貸付金について)

一、大蔵事務官作成の借入金残高及び支払利息調査書(別紙(一)の番号<25>借入金、別紙(二)の番号<27>借入金、別紙(三)の番号<26>借入金について)

一、大蔵事務官作成の未納事業税計算書と題する書面(別紙(一)の番号<40>未納事業税、別紙(二)の番号<44>未納事業税、別紙(三)の番号<42>未納事業税について)

一、星野譲の収税官吏に対する昭和五〇年二月七日付質問てん末書(別紙(二)(三)の各番号<1>現金について)

一、大蔵事務官作成の土地勘定調査書及び被告人の収税官吏に対する同年一月九日付質問てん末書(記録第九五号と表示のあるもの) (別紙(三)の番号<14>土地について)

一、大蔵事務官作成の「片倉建設株式会社にかかる修正貸借対照表の提出について」と題する書面(別紙(一)の番号<2>預金、<9>預金貸付金、<34>前期繰越利益について)

(法令の適用)

被告法人片倉建設株式会社(以下単に被告会社という)の判示第一ないし第三の各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人高木修の判示第一ないし第三の各所為はいずれも同法一五九条に各該当するところ、被告人高木修の各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社、被告人高木修につき、判示第一ないし第三の各罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪の所定の罰金額を合算した範囲内で、被告人高木修については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金一、三〇〇万円に、被告人高木修を懲役一〇月に各処し、なお被告人高木修は本件摘発後十分反省している態度がうかがえ、脱税額、各種加算税等についてもほぼ完納していることなど諸般の情状を考慮し、被告人高木修に対し刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 安原浩)

別紙(一)

修正貸借対照表

片倉建設株式会社

昭和47年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

片倉建設株式会社

昭和48年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

片倉建設株式会社

昭和49年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(四)

法人税額計算書

片倉建設株式会社

<省略>

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